とっても素早い『小さな頭脳』エッジAI

デジタル技術の発展に伴い、ここ数年でさらに注目されるようになったAI。

AIとは「Artificial Intelligence」の略称で、人工知能のことを指します。AIは、いま最も注目されているテクノロジーのひとつです。
現在、多くの場面で使われているのは「クラウドAI」と呼ばれるもので、その名の通りクラウド上(インターネット環境)で提供されるAIのことです。
しかしながら、クラウドAIには山間部やトンネルなどの通信環境が安定しない場合では処理が正常に機能しなくなってしまう可能性があるといった課題も抱えています。そこで登場するのが「エッジAI」です。

ここでは「エッジAI」とは何かについて簡単にご紹介していきたいと思います。

瞬時に処理ができるエッジAI

エッジAIとは、端末や端末近くにAIを実装し、学習や推論、判断をさせる技術のことを言います。

従来のAI処理ではクラウドAIが主流でしたが、クラウドAIによるAI処理を行う場合にはデータをすべてクラウド上に送信し、処理した後のデータを端末に送信しなければなりません。
そのため、膨大な量の画像や動画などのデータを取り扱う場合には処理の結果が返ってくるまでにかなりの時間が必要になってしまいます。

それに比べ、エッジAIの場合は端末自体にAIが搭載されているため、インターネットを介せずに必要な処理を行うことができます。
つまり、サーバーとのデータの送受信を待つ必要がなく、その端末だけで瞬時に処理、推論ができます。

例えば自動運転システムの場合、AIによる瞬時な判断が必要とされます。
自動運転システムは、前方のカメラやセンサーで障害物を検知し、ぶつかりそうになった際には緊急ブレーキをかけて停止するといった仕組みになっています。

もちろん車は時速100キロ以上で走っている場合もあるので、データ処理にはかなりの素早さが求められます。
これをクラウドAIで実現しようとした場合、データの送受信を待っていたり、通信環境が不安定な環境で正常な処理が行うことができなかったりすると、事故を起こしてしまうかもしれません。
そのため、車だけで最低限の処理が完結するようにエッジAIが採用されているのです。

様々な場面に対応できるが課題もある

さらに、製造業においてもエッジAIのニーズが高まっています。

エッジAIによって機械や製造品の異常をすぐに察知し、異常が認められた際はすぐにラインを止めることにより、製造ミスなどの被害を最小限に食い止めることができます。
また、個人情報や機密情報を含む画像を取り扱う高度なセキュリティが求められる場面でも、インターネットを介さずに処理するため、セキュリティの確保にはエッジAIに処理を任せる方が向いています。

この他にもドローンの自動操縦や監視カメラの解析、緊急時に周りに知らせてくれるようなスマートウォッチのようなウェアラブル端末にも使われていることが多いエッジAIですが、いくつかの課題もあります。

その一例として、端末にかなりの負荷がかかってしまうことが挙げられます。
エッジAIは小型でありながらデータを端末内で処理する特性上、端末にかなりの負荷がかかってしまうということです。そのため、大量のデータを処理したり蓄積したりすることにはあまり向いていません。
大量のデータ処理が必要な場合にはクラウドAIを導入するなど、臨機応変に対応することが求められます。

その他にも、エッジAIの設置環境、解析エンジンやデータの更新などといった課題も多く残されており、今後さらなるテクノロジーの発展に期待したいところです。

まとめ

処理技術と量に強いクラウドAIと、素早さとセキュリティに強いエッジAI。
どちらにもメリットとデメリットが存在するため、導入する環境や状況に応じて使い分ける必要があるということを認識しておかなければいけません。

端末に組み込み、素早い処理を行うことができる「小さな頭脳」エッジAI。
IoT化(モノのインターネット化)が進むにつれ、クラウドAI同様にエッジAIもより一層世の中に求められる存在になっていくことでしょう。

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